今回はあるお婆さんが50年以上住んだ自宅からの住み替えを決断し、リ・バース60を活用して実現したお話です。
このお話を読んでいただくと、豊かなセカンドライフを実現するためのヒントを掴んでいただけると思います。
今回の住み替えの物語の舞台は京都市伏見区。良質な水が豊富で古くから酒蔵の町として、酒づくりが盛んな場所です。
日本三大酒処の一つとして、兵庫の「灘」、広島の「西条」、そして京都の「伏見」と言われています。
灘の日本酒と対比して「灘の男酒、伏見の女酒」とも呼ばれているそうです。
伏見区の街並み
今回の主役は、そんな伏見の町で生まれ育ち、今はひとり暮らしをしているおばあさんです。
2022年の冬、おばあさんから自宅についての相談を受けました。
おばあさんは両親も兄弟も子供もおらず、身寄りのない一人暮らしでした。
話を聞かせていただくと、「今の自宅は古くて、寝ている時に風が吹くとミシミシと音がして怖い。大きな地震が来ると倒れてしまうのではと不安になる。丈夫な建物に引っ越したい」「家を手放すのは嫌だから、賃貸に行きたい」とのことでした。
後日あばあさんの家を見にいきました。年月を経て50年以上の年月を経ているだけあって、かなり痛んでいるのが一目でわかりました。
土地が約50坪、延床面積が約45坪あり、おばあさんが1人で住むには大きすぎる家でした。
室内は家具や荷物で溢れ、「おばあさん1人ではまともに掃除もできないだろうなぁ」「このまま痛んでいく一方だろうなぁ。ちょっと危険だな。」と思いました。
リフォームするにしても1,500万以上はかかりそうでした。
おばあさんには、
「体が元気な間、不安なく元気に楽しく暮らせる家を探しましょう。もし将来、体が動かなくなって生活が不自由になったら、その時は良い老人ホームを紹介しますからね。」と話し、あばあさんと一緒に次の住まい探しが始めました。
「生まれてから75年以上暮らしているこの近くから離れたくない。いまの自宅から徒歩圏内がいい」とお婆さんが希望するエリアは、伏見区でも1番の人気エリア。
ただでさえ高齢者は賃貸を借りにくい。
空き部屋が出てもすぐに埋まってしまうこの人気エリアで、条件の良い賃貸物件を借りるのが非常に厳しいことは容易に想像できました。
おばあさんには年金収入とある程度の預金があり、家賃の支払い能力には全く問題がありませんでした。築浅の安全で快適な賃貸住宅に住めるだけの経済力はありました。
でも、健康とはいえ身寄りのない一人暮らしの高齢者。
「厳しいだろうけど、ダメ元で何件か探してみよう」というのが正直な心境でした。
探し出して一ヶ月が経った頃、場所も間取りも賃料もおばあさんの希望に合致する賃貸マンションが見つかり、一緒に部屋を内覧に行きました。
7階の南向きで、明るく風通しの良い物件でした。
おばあさんも一目で気に入ったようで、内覧が終わった後に、「ぜひここに住みたい」とのこと。
意外にも取り扱っている賃貸業者は、「確かにご高齢ですが、健康ですし預金があり、家賃支払い能力も全く問題ないのでいけるかもしれません」と言ってくれました。
おばあさんは必要書類を揃えて申し込み、入居審査を待つことにしました。
「賃貸業者はおばあさんをを気遣って良いように言ってくれたけど、まあ可能性は30%もないだろうな」というのが私の正直な気持ち。
1週間後結果が出ました。やっぱりダメでした。
いろいろと理由を説明されましたが、要約すると「普通に若い人が借りてくれる物件を、高齢者には貸したくない」ということでした。
高齢者には厳しい賃貸住宅市場の現実を知り、意気消沈したおばあさん。
でも、次の手を考えないといけません。
残された選択肢は四つ
1、自宅をリフォームする
2、サービス付高齢者専用住宅を検討する
3、高齢者でも借りられそうな物件で妥協する
4、中古マンションを買う
※希望するエリアに売り物件が無く、エリアを変える必要がある。
現実問題として
築古でリフォームしても構造的に限界があるし、改装費用もかなりの金額になる。
サービス付高齢者専用住宅はワンルームの間取りが多く、部屋が狭すぎる。
借りられる物件は古い狭い物件ばかり。
中古マンションは希望するエリアには売物件がなかなか出ない。
「うーん、厳しいですねえ」おばあさんも思わずため息が出ます。
なかなか良い住み替え先が見つからないまま約1年が経過しました。
しかし、2023年の5月におばあさんは運命の物件に出会います。
打ち合わせのために、おばあさんの家の近くの喫茶店に行く途中、ある新築マンションの工事現場の前を通りました。
その時おばあさんが、「ここに新築の大きなマンションが建つんです。場所も最高に良いし、新しいマンションは安全で快適なんでしょう?こんなところに住めたら最高やわね。まあ価格も高いしローンの組めない私には縁の無い話ですけど・・」とつぶやきました。
私「もしかしてここに住みたいんですか?」
おばあさん「そら、住めるならねぇ。宝くじでも当たらんと無理やけど笑」
私「いや、新築なら多分いけますよ。良い方法があります」
おばあさん「無理無理。多分5千万以上ぐらいするやろし、そんなん家売っても無理やわ。預金も全部使うわけにはいかんし」
私「たぶん、自己資金(預金)はそんなに使わなくて良いですよ。家は売却しないといけませんけど」
おばあさん「えっ、そんな方法があるんですか?」
私「はい。リ・バース60っていう、60歳以上の人だけが使える特別なローンがあるんです。これを使います。
住宅金融支援機構が提供しているローンで、メリットデメリットありますが、
お子様のいない人にとってはメリットがの方が大きいです」
おばあさん「そういえば、お昼にテレビCMで見たかも・・」
私「そう、それです」
リ・バース60
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html
【リ・バース60】:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)www.jhf.go.jp
それから喫茶店でリ・バース60の説明をじっくりと約1時間ほどしました。
内容を理解するにつれて「ひょっとするといけるかも」と希望が持てだしたおばあさん。「あんなところ住めたら夢のようやわ」とかなりモチベーションが上がってきた様子。
マンションの分譲会社に電話してみると、「7月に現地モデルハウスがオープンしますから、その時になれば詳しいお話をさせていただけます」とのこと。
モデルハウスのオープンを待って、一緒に話しを聞きに行くことになりました。
7月21日(金)におばあさんと一緒にモデルハウスに話を聞きに行きました。
現地では物件紹介のショートムービーや3Dの完成予想図も用意されており、詳しい話を聞くことができました。
最新の設備、安心安全のセキュリティ、機能的な間取り、話を聞けば聞くほど夢が広がります。おばあさんのモチベーションが上がってくるのが伝わってきました。
最後に分譲の予定価格を教えてもらえることになりました。
おばあさんは1人で住むのでそんなに大きな部屋は必要ありません。2LDKで50㎡もあれば十分です。
価格表を見ると、北向きバルコニーの部屋50㎡台の部屋は4千万台前半の価格設定でした。
「これなら預金をあまり使わずに購入して住むことができそうですね」とおばあさんに言いました。
私の経験上、おばあさんの自宅は2000万円程で不動産会社が買い取ってくれそうです。あとはリ・バース60で2000万円程借入ができれば、自己資金(預金)をあまり使わずに購入可能です。
マンションの申し込みは9月上旬より可能になるとのこと。
それまでの間に必要な準備をすることになりました。
やることは主に2つ。
1、不動産会社の “おばあさんの家の買取り金額はいくらなのか?” を明確にすること。
2、銀行に行き、“リ・バース60でどれぐらい融資を受けらそうなのか?” を知ること。
不動産業者の査定を受け、銀行に借入可能金額を打診したところ
不動産会社の買取り査定額は、2150万円でした。
そして、リバース60は最大で2300万円までの融資が可能とのことでした。
結果、あと自己資金を200万円程用意すれば購入可能なことがわかりました。
購入後は金利の支払いと、管理費積立金の支払いが必要にはなりますが、おばあさんにとっては余裕を持って支払える金額です。
希望していた賃貸も借りられず、住み替えを半ばあきらめていたのに、まさかの展開に
おばあさんも大喜び。
もちろん「ぜひ購入して、住み替えたい」とのお返事をいただきました。
2023年9月にマンション購入の契約を結び、その後、自宅売却の契約を結びました。
マンションの完成引渡し予定は2024年9月末です。
引越しまでは1年も待たないといけませんが、おばあさんは、引越し後の生活を想像すると今からワクワクが止まらないようです。
今、おばあさんはマンションでの新生活を想像しながら、毎日を生き生きと過ごしています。
「お客様のセカンドライフをもっと豊かに、もっと面白く」が当社の理念ですが、
今回のおばあさんの住み替えの仕事は、「おばあさんのセカンドライフを豊かに、面白くすることができそうだな」と、私も満足しています。
おばあさんの引っ越しの日、新たな人生がスタートする日が私も楽しみです。
お引越しの日には、ぜひお祝いに行こうと考えています。